【原点企画vol.1】誰かのセカイに寄り添える、看護師への道。

こんにちは。Colorbathインターンの櫻井です。

今回は、9/11(土)に行われた「”原点”を探る座談会」の第1回目に登壇していただいたゲストへのインタビューをお送りします。

「Z世代が気軽に語り合い、個性を感じられるオンラインの場所」というコンセプトで始まったラウンジZEPO。その取り組みの一環として、新たに始動したのが「”原点”を探る座談会」です。

「第一線で活躍している人だけでなく、道半ばで葛藤しながらも歩み続けている人の話を聞くことで、前向きなエネルギーを共有する」ことを目指し、参加者全員で人生を深ぼる「奥深さ」を体感していけるような企画にしていきたいと思っています。

9月11日のイベントでは、4人がオンラインで集まり、ゲストとじっくり語り合う濃密な時間を過ごしました。

本記事では、その翌日に実施したゲストへのインタビューを通して、「人生における”原点”とは何か」「ゲストが今歩んでいる道にかける思い」に迫っていきます。

進路に悩む学生、今の大学生の考えに興味がある社会人など、さまざまな方の心に響く言葉が詰まっているので、ぜひじっくりと読んでみてください。

話し手:中土井伶衣(写真右)
帝京大学医療技術学部看護学科1年。「30日間チャレンジ」をきっかけにラウンジZEPOに参加。今回の座談会では、さまざまな経験を通して培った「命」や「医療」に関しての考えを語ってくれた。今ハマっているのはTRPG。

聞き手:櫻井かおり(写真左)
獨協大学外国語学部英語学科1年。Colorbathインターン生。ゲストとは中高生時代から親しく、人生についても語り合ってきた。その感性を言葉にしてほしいと、今回の企画への登壇を依頼。

zoom座談会「勉強になったし、いい経験だった」

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櫻井
まず、昨日はお疲れさまでした。なかなか濃い90分だったと思うけど、どうだった?
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 中土井
私自身の考えとか、感じていることを言語化できたし、それに対していろいろな意見をいただけた。勉強になったし、いい経験になったって思う。
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櫻井
こんなに深掘りする時間って普段ないもんね。私はファシリテーターをやらせてもらって、誰かの人生に心ごと耳を傾けることって本当に奥深いなって感じた。あっという間に時間が流れたな。
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 中土井
そうだね。あっという間だったわ。
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櫻井
じゃあここからは、昨日も使ったトークテーマ(下)をみながら、いろいろ聞いていきます。参加者の方から質問を受けて感じたこととかもあると思うので、そこも含めて。

衝撃の毛虫事件「場が和んだよね」

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櫻井
まずこの、異色を放ってる…。
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 中土井
毛虫事件?(笑)
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櫻井
幼少期のエピソードある?って聞いたらこれしか出てこなかったよね、それぐらいインパクトが大きかったんだろうけど。
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 中土井
幼稚園生の時に、一緒に遊んでた友だちにタンポポをあげようと思って、摘んだの。そしたら、人差し指に毛虫がついてて…。必死に振り払ったんだけど、その間友だちはずっと爆笑してた。いまだに許すまじ…と思ってる。
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櫻井
アイスブレイク用に、って思ってた質問なんだけど、なぜか毛虫の種類について質問が出たり、場が和んだよね。
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 中土井
ならよかった(笑)

櫻井との出会い「お互い話してて楽しい存在だった」

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櫻井
次のテーマは、「櫻井との出会い」。大学生になってもこうやって企画に呼ぶくらい親しい関係なのはなぜか、みたいな部分かな。
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 中土井
まず大前提として、私たちは同じ中高一貫校に通っていて。小規模な学校だったから、同じクラスではなくてもお互いに顔くらいは知ってた。

本格的に話すようになったきっかけは、中3の時、文化祭の「展示部門」で一緒にリーダーを務めたこと。最初は本当にビジネスパートナーみたいな感じで(笑)。その文化祭を成功させるための会話しかしてなかった気がする。でも、一緒にいる時間が長いから、そのうち自分自身の話とかもするようになって、いつの間にか仲良くなってたよね。
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櫻井
当時、コミュニケーションに苦手意識があった私に一人の人間として向き合ってくれたのが中土井だったんだよね。ダメなところは指摘してくれるし、でも共感もしてくれるし。わからないことがあったら、流さずにちゃんと「知りたいから」って言ってくれた。それがすごく嬉しくて、一緒にいて楽しいなって思うようになったんだろうな。
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 中土井
私にとっては、自分の知的好奇心を引き出してくれる存在というか…。すごい本読むし、いろいろ知ってるし、「1話すと10返ってくる」みたいなのが話してて楽しかったんだよね。
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櫻井
「知る」ことに対して貪欲っていう共通点があるから、どれだけ話しても飽きなかったのかも。

認知症の人と接する中で「セカイを知りたいなって」

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櫻井
3つ目のテーマからは特に、中土井が最終的に看護師を目指すようになる「原点」になっていくかな。
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 中土井
中:私は母が介護の仕事をしていて、その職場で中学生の頃からボランティアをしていたんだよね。そこで、初めて認知症の人と出会った。「何事も忘れてしまう」「人間性まで失われてしまう」みたいなイメージがあったんだけど、実際はそんなことなくて。正直、「ふつうの人だな」と思った。もちろん、人の名前とか年齢を忘れてしまうみたいな症状はあるんだけど、おっとりしてる人もいれば、おしゃべりな人もいて、「その人らしさ」っていうのが消えてない。

あと、母や周りのスタッフさん達の話を聞いてるうちに、自分なりに「認知症の人へのケアの在り方」を考えるようになった。漠然とはしてるんだけど、「その人のセカイを知ることで、その人にあったケアを見つけたい」みたいな感じかな。

ここでいうセカイっていうのは、これまでの経験や習慣、その人が感じたことによって構築されるものだと、私は考えてる。芸術家が「固有の世界を持っている」と言われるように。
人それぞれ固有のセカイを持っているから、同じ出来事でも人それぞれ考え方や感じ方が違う。例えば、人参を見たとき、「カレー食べたいな」って思う人もいれば、「シチュー食べたい」って思う人もいる。もしかしたら宇宙を感じる人だっているかもしれない。これってすごく面白くない?

だから、私はたくさんの人のセカイを知りたい。
そしてそれを知ることで、その人に本当に合ったケアを提供できると思ってる。
もちろん100%理解することはできないっていうのは分かった上で、知ろうとする努力はやめちゃいけないなって。
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櫻井
ちなみに、昨日のイベントの時には「そもそも認知症に対する固定的なイメージがあんまりなかった。自分とは縁遠い言葉だと思ってきた」っていう意見も出たよね。それに対してはどう思った?
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 中土井
うーん、私の体感としては、高齢化も進む中、認知症に関する情報って増えてきたなっていうのがあった。だから意外だったかな。
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櫻井
身近に感じることがないと、リアルに捉えづらいっていうのもあるよね。
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 中土井
そうだね…。

ただ、認知症は、これからどんどん身近になっていく。自分の家族にそういう症状が出たって時に、事前の心構えがないと、やっぱりキツいと思うんだよね。人間性は失われないよって部分ももちろんそうだけど、認知症のリスク面も含めて、知っておいてほしいな。
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櫻井
なるほどね。実は9月は、「世界アルツハイマー月間」。国際アルツハイマー病協会(ADI)が、認知症への理解を進めてもらうために設定したものなんだけど、21日の「世界アルツハイマーデー」に向けて、さまざまな啓発運動が展開されるみたい。SNSやイベントなどで「知る」チャンスは増えると思うから、たくさんの人が認知症について自分ごととして考えるきっかけになればいいな。

介護の現場に思うこと「人の心に影響を与えうる仕事」

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櫻井
一回ボランティアに行っただけではなくて、継続的に介護の現場と関わり、働く人の姿も見てきた中土井だからこそ、伝えられることってあると思う。
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 中土井
あくまで私が見てきた範囲でという感じなんだけど、良い意味でも悪い意味でも人の心に影響を与えうる仕事だってことを意識しておいてほしいな。責任感や覚悟が必要な場所で働いているんだっていう意識は、全員に必要とされてると思うし、介護の現場で働いているわけじゃなくても、頭に入れておいてもらえたら嬉しい。
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櫻井
意識を変えるのは簡単なことではないけど、少しずつの積み重ねが、認知症や介護を必要とされている方の笑顔につながるんだろうね。

祖父の死を経験して「考え続けていくことが原点」

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櫻井
このエピソードは、イベント後のアンケートでも、「印象に残った」っていうメッセージをくださる方が多かったな。結構徹底的に深掘れたっていう印象がある。
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 中土井
高1の時に祖父が病死して、それが私にとっては、身近に「」を感じた初めての経験だった。そのお葬式の時に私は「泣かなかった」んだけど、それは意識的だったというか…「この場面で泣くべきは父や祖母だ」って、なぜか達観してしまったんだよね。で、帰ってから思いっきり泣いてやろうと思ってた。

そうしたら、帰宅してから母に「ドライだね」って言われて。母も祖父の死を悲しむ中で出てしまった言葉だから、決して悪意はなかったと思う。でも、やっぱりその言葉には多少なりとも衝撃を受けて、その時は「私だって悲しい、泣けるよ!」って反発心を感じた。

でも、いざ自室に戻ってみたら、今度は「泣けなかった」んだよね。祖父との思い出が自分の中にあまりないってことに気づいてしまった。かわいがってもらっていたから、「祖父って優しかったな」「いい人だったな」っていう印象はあるんだけど、思い出せる記憶がなかった。

もともと自分の死生観として、「人は肉体的に亡くなっても、誰かの記憶の中に存在している限りは生き続ける」っていう考えがあったから、なおさらショックだった。「私の中に祖父はもういないんだ」って思って、祖父に対して罪悪感も覚えたし、すごく後悔した。
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櫻井
櫻:中土井がこの話をした後、共感できるって人が多かったよね。「身近な人が亡くなった後に感じること」って本当に人それぞれだと思う。関係性にもよるし、その時の状況や、周りの人の様子によっても変わりうる。だから「悲しみかた」「受け止めかた」に正解なんてないんだってことを改めて認識できた。

その上で本当に個人的に思うのは、中土井がこうしておじいちゃんの死に関する自分の感情を分析して、言語化して、今も忘れずに心にとどめてるっていうのは、私はそれも一つの偲び方なんじゃないかなって。
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 中土井
もともと生と死に関心があったから、この経験を蔑ろにしてはいけない、逃げちゃいけないっていう思いは確かに強かったかな。だからこそ、祖父の死を通しての自分が感じたことっていうのが、医療職を目指す原点、終末期医療に関心を持つきっかけにもなったんだと思う。

身近な人を亡くして、大きすぎる「後悔」をずっと抱えながら生きる人が少なくなればいいな。
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櫻井
この話を受けて思うのは、「原点」って出来事単体を指すわけじゃないんだなってこと。そのときの心の動き、後から反芻して考えたこととか行動したこと…結局はそのつながりが大事なんじゃないかなって思う。
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 中土井
考え続けていく、向き合い続けていくことこそが原点だよね。

進路変更のきっかけ「書類の打ち合わせで、思い出した」

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櫻井
ここまでは、中土井の大事な「原点」となることを振り返ってきた。最後2つのテーマは、より今中土井が立っている位置につながるような話になるかな。
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 中土井
原点を再確認したタイミングがあったんだよね。認知症のところでも触れたんだけど、もともと私は「その人のセカイを知りたい」っていう気持ちが強くあった。純粋な知的好奇心だと思う。
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櫻井
「知りたい!」っていう純粋な思い、知識欲がそもそも根底にあると。
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 中土井
中:そう。人が一生で体験できることって限られてるけど、その人の話すこととか、書いたものに接することで、色々なものを自分の中に取り入れることができる。本当にすごいなって思う。

私は一人一人との対話や関わりを通じて、たくさんのセカイを知りたいなって考えてる。そして、医療の現場においてその人のセカイを知ることは、より良いケアにつながるものだっていう信念もある。
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櫻井
その思いがどうやって進路に繋がったのかっていう部分を、イベントでは話してもらったんだよね。
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 中土井
もともと医療職に就こうっていう思いがあった中、高2の時に理科の先生に「臨床検査技師」っていう仕事を勧められたんだよね。血液検査とか細胞の検査とか、検査全般を担う職業なんだけど、手先が器用なことも生かせるし、その時点では納得感があった。でも、高3の10月、臨床検査学科の公募推薦入試を受けようとしていたときに、書類の中に「医療職を目指したきっかけは何ですか?」っていう項目があって。その瞬間、自分の原点である「その人のセカイに触れたい」を思い出した。

臨床検査技師だと人と関わる機会がゼロというわけではないんだけど、心まで知るような関わり方はなかなかできないのが事実。

だから、患者さんとのコミュニケーションを多く取ることができる「看護師」を目指そうって決意した。

もちろん、看護師になるということは、人の命に対する責任もより重くなるということ。そんなの背負いきれないって、選択肢から外していた時期もあった。でも、そのリスクを念頭に置いたとしても目指したいという強い思いが生まれたから、決めきることができたんじゃないかなって思う。

私らしい看護師像「病院で働く以外の選択肢もある

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櫻井
熱い思いを持って、看護学科に入学した中土井なわけだけど、ここまでの大学生活で考えてきたことについても、少し共有してもらいたいな。
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 中土井
実習とかで病院に行く機会がある中、看護師さんの忙しさというのを目の当たりにして。時間がない中のマルチタスク、命を扱うという重圧…。私がこなし切れるのかなって、不安になった。ましてや、イメージしていたような「患者さんのセカイを知る」時間なんて取れないんだろうなって感じた。
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櫻井
それが現実なんだろうね…。
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 中土井
そう。で、どうしようかなって思ってたときに、かおちゃんから「コミュニティナース」っていうのを教えてもらって。
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櫻井
初めて情報を見た時、あ、中土井だなこれって思った。コミュニティナースっていうのは、「病院」という場所にとらわれず、地域のなかで看護を実践する「在り方」みたいなもの。定義が1つではないし、さまざまな取り組み方があるからこそ、柔軟に活動できるっていう印象があったな。

画像はCommunity Nurse Companyのホームページより

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 中土井
高齢化はどんどん進んでいくし、孤独を感じている人も増えてきている。こういう取り組みってどんどん広がっていくだろうし、可能性も大きいよね。
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櫻井
それに、医療の専門職以外も、貢献できる可能性がある。私もすごく惹かれている取り組みだし、今後も情報を追って、主体的に考えていきたいな。

進路に悩んでいる人にメッセージ「原点を大切に」

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櫻井
最後に、進路に悩んでいる人にメッセージがあればお願いします。
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 中土井
伝えたいのは、「すでに原点はあなたの中にあるよ」ということ。これまでの人生の中で、もう生まれていると思う。気づいていないだけで。

生きてきた時間の中で培われてきたもの、興味の矢印が向いたもの、大切にしていきたいなって感じた対象。その一つ一つが自分の原点につながっていくと思う。それに、原点はめちゃくちゃ強力な原動力にもなる。逆境に直面しても、誰かに反対されても、その壁に自信を持って立ち向かえるパワーになるんじゃないかな。

私自身は、かおちゃんと出会って、人生について語り合った時間の積み重ねがあったから、原点に気づくことができた。

だから、誰かと自分たちの人生について語り合ってほしい。そしてそれをきっかけにして、自分の原点に気づいてほしいなって思うし、見つけた原点を大切にしてねって思う。
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櫻井
イベントとインタビュー、打ち合わせも含めたら凄い時間数になるけど、たくさんの言葉と思いをありがとうございました。このメッセージが、たくさんの人に届きますように。

編集後記

今回、オンラインイベントでのファシリテーターと、インタビュー企画の聞き手を務めさせていただきました。人生を深ぼることの楽しさや奥深さ、そして難しさを改めて感じる時間の連続でした。

「んー、なんて言えばいいのかな、うまく言葉にできない..」
「あー、それってどういうことだろう…?」

「…」と「?」によって生まれる余白は、企画を運営する側としては、少し怖いものでした。つまらない企画だと思われているのではないだろうか、ゲストを困らせているのではないか。そんな不安が、何度も頭をよぎります。

でも、この記事を執筆しているうちに、少しずつ気持ちが変わっていきました。

沈黙が生まれるのは、ゲストと参加者、そしてファシリである私自身も、「人生」というとてつもなく大きなものに、全力で向き合っているから。何とか言葉にして、心の動きを共有しようとしているから。

スッキリした結論に辿り着かなくてもいい。この原点企画が、対話を通じて自分と見つめ合う、前向きなエネルギーの源となるよう、これからも頭を捻り続け、諦めずに企画に向き合い続けていきたいと思いました。

今後もラウンジZEPOでは、様々な世代の方々を巻き込みながら、個性豊かな企画を打ち出していきます。ご期待ください!