広く、浅くを深くやる

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後藤 智

経営学の研究者。専門はデザインマネジメント。デザインシンキング、エンジニアシンキング、マネジメントシンキング、アートシンキングの違いと使い所を研究している。この観点から学校教育に対する思うことを書いていきます。

デザインの世界では、向井周太郎先生がデザインの専門性を、「専門性がないのが専門だ」と定義しています。こういうのは、メタ思考といいます。デザイナーがよく発揮する能力の一つが、このメタ思考のアイデアです。

問題をなかったことにする

さて、このようなメタ思考をどのように使うか。大学に、特に文系にいるとよく学生からこんなことを言われます。
「私は理系の学生のように、特定の領域の深い知識がない。」
聞いてみると、いろんなものに手を出して、広く浅くやっているようなのです。これをメタ思考でちょいちょいっと変換してあげます。
「広く、浅くを徹底的にやったら、深くなるよ」と。
つまり、広く、浅くを深くやるということです。

他にも、こんなことがあります。
「私は内向的な人間で、外向的にどうしてもなれない」と。
これをメタ思考でちょいちょいっと変換してあげます。
「そもそも内向的な人間って、何の問題があるの?」と。

一つ上から問題を捉える

要するに、メタ思考とは問題を一つ上から捉え直すということです。メタ思考でない思考で、上記の質問に答えるとこうなります。

「私は理系の学生のように、特定の領域の深い知識がない。」
「そうか、そうか、深い知識を得る方法を一緒に考えよう。」

「私は内向的な人間で、外向的にどうしてもなれない」
「そうか、そうか、外向的になれるように一緒に訓練しよう。」

普通の思考では与えられた問いに対して、それを答えようとしますよね。メタ思考は、与えられた問いに対して、「そもそもその問いが正しいのか?」と考えます。そうすることによって、「問題だと思っていたことが実は問題ではなかった」というようなことが発生するのです。
経営学では、メタ思考で行われる組織学習を「ダブルループ学習」、問題に対して直接答えを見つけようとする組織学習を「シングルループ学習」なんて呼んだりもします。

生徒や学生は、まだまだ狭い世界で生きています。自分が生きてきた世界が実は単なる狭い世界で、物事には多様な捉え方があると理解できないとなかなかメタ思考はできません。問いが間違っていることに気づけないのです。
そのために、教員がちゃんとメタ思考で学生や生徒の言っていることの本質を捉えてあげ、正しい問いに誘導してあげる必要があります。特に、メタ思考は学生や生徒のメンタル面の強化に役立ちます。自分が弱点であると悩んでいることが、実際は問題でなかったと一声かけてあげるだけで、自己肯定感の向上に繋がります。特に、現代は多様性の社会です。メタ思考で多様であることを肯定してあげることが重要になります。

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