ダンスを踊れるとデザイン能力は上がる

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後藤 智

経営学の研究者。専門はデザインマネジメント。デザインシンキング、エンジニアシンキング、マネジメントシンキング、アートシンキングの違いと使い所を研究している。この観点から学校教育に対する思うことを書いていきます。

一流のデザイナーの人の中では、やたらと音楽やダンスをやっている人が多い。職業別割合を見ると、すごい高いのではないかと思う。起業家もよく似てて、音楽やダンスしている人は多いですね。
これは偶然だと思いますか?
いえいえ、音楽やダンスで得られる能力はデザインアントレプレナーシップに決定的な力になりますよ。

アーティステック・インターベンション

現在、私の研究領域であるデザインマネジメントでは、「アーティステック・インターベンション」というものが注目されています。これは、経済という論理から離れたアーティストが持つ特有の考え方を、企業組織に取り入れることで、組織にカオスをもたらし、価値観を変化させようとする試みです。

このアーティステック・インターベンションの一つとして、ミュージック・インターベンションというものがあります。これはミュージシャンやダンサーの思考方法や作曲、演奏、振り付け等に必要なクリエイティブ能力をビジネスマンも獲得しようとする試みです。

私自身もダンサーなので、ここではダンスだけに焦点を当てます。これ、すごいわかるんです。ダンサーは本当にクリエイティブですよ。ダンサーはビジネスマンが考えるプロセスとは全く違う考え方を持っています。

今日は、ダンサーが持っている社会構成主義的な考え方(以前の記事参照してください)を紹介します。確かに振り付けというルールはあるんですが、チームで踊る場合は、やはり最後の最後でメンバー同士の癖や特徴を踏まえたアレンジをせざるを得なくなります。そのアレンジはお互いがお互いをみて、お互い調整しながら、気持ちよくシンクロする点を探す感じです。振り付けは完成形ではありません。ダンサーからすると「振り付けを覚えて、やっとスタートラインに立った」という感覚です。重要なことは、そこからやりながら作り上げていく、「共創のプロセス」があるということです。

1〜10までプロセスがあるとすると、私の感覚では、振り付けを覚えるなんて1ぐらいじゃないでしょうか。残り9の共創プロセスがあるのです。しかも、10まで行って気付くんですけど、「もっとうまく踊れるよ絶対!」「あれ、100まである」っていう感じで、いつまでたってもゴールがないんです。

もしかすると、「ダンスは、全員が同じ振り付けを覚えることで、規律を守る能力を高めてくれる」と考えている方もいるかもしれません。しかし、それはダンスの表面的なところで、一流のダンサーが考えていることはそんなことではありません。

コミュニケーション能力とは

チームの振り付けの場合、相手がいないと自分がいない、自分がいないと相手もいないという感覚が重要になります。つまり、相手と自分の相互作用の中で初めて目指すところが見えてくるのです。これがデザインのプロセスに重要なのです。

最近、どこに行っても「コミュニケーション能力だ!」って言ってますけど、喋ることが大切なのではなくて、このダンサーの感覚を持つことが重要なんです。アクティブ・ラーニングに求められるコミュニケーション能力がこれなんです。単なるお喋りは、クリエイティブにあまり役に立ちませんよ。むしろ、「誰がなんと言おうと、あるのである!」派(以前の記事参照してください)の人のお喋りは、アクティブ・ラーニング、その先にある企業での共創にとって敵でしかありません。だって、そういう人は自分の絶対的なルールを誰にでも押し付けるからです。そういう教員、あなたの周りにいませんか?

現在小学校でダンス教育が始まっていると思いますが、この記事の内容を理解している人はほとんどいないでしょう。おそらく多くの人が、単なる運動だと思っているのではないでしょうか。

なぜ、ミュージシャンやダンサーはクリエイティブと呼ばれるか考えたことはありますか?
この記事を読んでいただいている方は、ぜひ子供に「ダンスというのは友達のことを知り、友達に自分のことを知ってもらい、二人の中でしかわからないものを作り上げることなんだよ」と伝えてあげてください。せっかくのダンスの授業、ただぼーっと時間を過ごすか、クリエイティブになるための授業だと思って受けるのかで全然違いますよ。

そして、「二人の中でしかわからないものを作り上げる」ことが完成した時の気持ち良さは、一度覚えると病みつきになります。ぜひ、ダンスの本当の楽しみを感じてみてください。

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